洗濯槽クリーナーは塩素系と酸素系どっち?|メーカーが酸素系を避ける理由は「泡」
洗濯物が生乾き臭い。洗濯機から嫌なにおいがする。原因が洗濯槽にありそうだと分かったとき、次に迷うのが「何で洗えばいいのか」です。
ドラッグストアには塩素系と酸素系の洗濯槽クリーナーが並んでいます。ネットでは「酸素系のほうが汚れがごっそり取れる」という声もよく見かけます。
ところが洗濯機メーカーの回答は、そろって塩素系です。しかも日立とパナソニックは、酸素系を避けるべき理由としてまったく同じことを挙げています。この記事では、その理由と正しい選び方を整理します。
結論:メーカーが指定しているのは「衣類用の塩素系」
先に結論から書きます。
| 使うもの | メーカーの扱い |
|---|---|
| 洗濯槽用クリーナー(塩素系) | ◎ 推奨 |
| 衣類用の塩素系漂白剤 | ◎ 使用可(パナソニックは約200mL) |
| 酸素系漂白剤 | × 非推奨(泡立ちによる不具合) |
| 台所用の塩素系漂白剤 | × 非推奨(見落としやすい) |
| 重曹 | × 非推奨(溶け残り・詰まり) |
| クエン酸 | × 非推奨(金属の腐食) |
「塩素系ならなんでもいい」わけではありません。台所用は対象外です。ここは後で詳しく説明します。
なぜ酸素系はダメなのか——理由は「泡」
ここがこの記事のいちばんの要点です。
日立には「槽洗浄コースで、酸素系(非塩素系)の漂白剤が使用できないのはなぜですか?」という専用のQ&Aがあり、こう回答しています。
「酸素系漂白剤は泡立ちが多く、排水異常や泡漏れを起こす可能性があります。故障の原因になるのでご使用はお控えください。」
パナソニックも、槽洗浄の案内のなかで同じ趣旨を書いています。
「台所用の塩素系漂白剤や酸素系漂白剤は使わないでください。泡立ちが多すぎるため、途中で排水され、十分な効果が得られない場合があります。(タテ型洗濯機は泡があふれたり、槽内に泡が残ることがあります)」
2社が独立に、同じ「泡立ち」を理由に挙げています。洗浄力の優劣ではなく、洗濯機という機械の中で使うと不具合が出るという話です。
「縦型なら酸素系でいい」は成り立たない
ここは通説と食い違うので、はっきり書いておきます。
「ドラム式は酸素系NG、縦型ならOK」という説明をよく見かけます。しかしパナソニックは、タテ型について「泡があふれたり、槽内に泡が残ることがあります」と名指しで注意しています。日立の回答にも槽の形状による区別はありません。
つまり縦型でも酸素系はメーカー非推奨です。「汚れがごっそり剥がれて気持ちいい」という体験談は事実なのだと思いますが、それはメーカーが想定した使い方ではなく、不具合のリスクを引き受けたうえでの話だと理解しておく必要があります。
洗濯機は10年近く使う高価な家電です。排水異常や泡漏れで修理となれば、クリーナー代との差額はすぐに吹き飛びます。
見落としやすい落とし穴:台所用の塩素系はNG
塩素系を選ぶときに、もうひとつ注意が要ります。パナソニックは「台所用の塩素系漂白剤」も使わないよう明記しています。
同じ次亜塩素酸ナトリウムでも、台所用は界面活性剤の配合などが衣類用と異なり、泡立ちの問題が起きます。「キッチンハイターが余っているから」と流用するのは避けてください。
選ぶべきは次のどちらかです。
- 洗濯槽用クリーナー(塩素系)——メーカー純正品が確実です
- 衣類用の塩素系漂白剤——パナソニックは約200mLを目安としています
日立は、しっかり洗浄したい場合として「防食剤配合塩素系漂白剤(日立純正洗濯槽クリーナー『SK-1』など)」を挙げています。防食剤(防サビ剤)が入っているかどうかは、洗濯槽の金属部分を守るうえで見ておきたいポイントです。
重曹とクエン酸が使えない理由も、それぞれ違う
当サイトの重曹とクエン酸の記事でも触れましたが、ここで整理しておきます。2つはNGの理由がまったく違います。
| NGの理由 | 出典 | |
|---|---|---|
| 重曹 | 洗浄力が比較的弱く多くの分量が必要になるため溶け残る。硬水寄りの地域では溶け残りが固まり排水経路が詰まる恐れ | 日立 |
| クエン酸 | 酸性のため洗濯槽の金属部分が腐食してさびるおそれ | 日立 |
片方は物理的に詰まる話、もう片方は化学的に腐食する話です。「ナチュラル系だから洗濯機にもやさしい」という発想が、ここでは通用しません。
正しいやり方:月1回、槽洗浄コースで
頻度は月1回
パナソニックは「黒カビを予防するために、月に1回程度、衣類用塩素系漂白剤や次亜錠剤を使った『槽洗浄』コースでお手入れをしてください」と案内しています。
黒カビが発生する仕組みも同社が説明しています。「洗濯槽に、洗剤の溶け残りや、衣類などの汚れが付着すると、カビの栄養分となるため黒カビが発生します」——つまり洗剤の入れすぎも原因になります。「たくさん入れればきれいになる」は逆効果です。
槽洗浄コースを使う
最近の洗濯機には専用コースがあります。時間設定ができる機種について、パナソニックは11時間か6時間を指定しています。日立のドラム式には、15分・2時間(温水)・11時間といった複数のコースが用意されています。
長時間コースには意味があります。薬剤を槽の裏側まで行き渡らせて時間をかけて作用させるためで、短時間コースは軽い汚れや日常の手入れ向けです。においが出てからの本格的な洗浄なら、長いコースを選んでください。
薬剤を使わない選択肢もある
塩素のにおいが苦手な人向けに、温水で洗うコースを用意しているメーカーもあります。パナソニックは「漂白剤のにおいが苦手な方は、温水で約2時間槽を洗う『約60℃槽カビクリーン』コース」を案内していますし、日立のドラム式にも温水槽洗浄のコースがあります。
薬剤を買わずに済むので、まず自分の洗濯機にこのコースがあるか確認してみてください。
安全上の注意
塩素系を使う以上、ここは省略できません。
- 酸性のものと混ぜない——有害な塩素ガスが発生します
- 続けて使うのも避ける——シャボン玉石けんは、塩素系製品とクエン酸について「使用後、すすぎを念入りに行ってください」としています。同時に混ぜなくても、すすぎが不十分なまま次を使えば危険です。クエン酸を使った直後に塩素系で槽洗浄、といった流れは避けてください
- 換気する——洗面所は狭く密閉されがちです。ドアを開けて換気扇を回してください
- 槽洗浄中に衣類を入れない——色柄物は脱色します
それでも生乾き臭が消えないときは
洗濯槽をきれいにしても衣類のにおいが取れない場合、原因は槽ではなく衣類の繊維の奥にあります。
花王の研究では、菌はタオルの表面ではなく奥の繊維の隙間でバイオフィルムという膜を作っていることが確認されています。ここまで来ると、洗濯機を洗っても届きません。衣類側のリセットが別途必要です。手順は生乾き臭が取れない原因と落とし方にまとめました。
「洗濯槽を洗う」と「衣類をリセットする」は別の作業です。両方やって初めて振り出しに戻ります。
調べていて意外だったのは、酸素系がダメな理由が洗浄力ではなく「泡」だったことです。汚れは落とせるけれど、洗濯機という機械の中では泡が仇になる。日立とパナソニックが同じ理由を挙げているのを見て、これは体験談より優先すべき情報だと感じました。
「よく落ちる」と「機械に使ってよい」は別の評価軸です。10年使う家電の中で試すなら、メーカーの指定に従うほうが結局は安上がりだと思います。
— ニオラボ編集室
よくある質問
酸素系を使ったら汚れがごっそり出ました。効いている証拠では?
汚れが剥がれているのは事実だと思います。問題は剥がれた汚れと大量の泡が、排水経路で何を起こすかです。日立は排水異常や泡漏れ、パナソニックは途中で排水されて十分な効果が得られない可能性を挙げています。目に見える成果と、機械への影響は別だと考えてください。
塩素系は洗濯槽を傷めませんか?
だからこそ防食剤(防サビ剤)配合の製品があります。日立も防食剤配合のものを勧めています。心配なら純正の洗濯槽クリーナーを選ぶのが確実です。台所用の流用だけは避けてください。
洗濯槽クリーナーを使ったのに、まだにおいます
次の3つを順に確認してください。①長時間コースで洗ったか(短時間コースでは届かないことがあります) ②洗剤を入れすぎていないか(溶け残りがカビの栄養になります) ③衣類側の問題ではないか(繊維の奥の菌は槽洗浄では落ちません)。
使ったあと、ふだんの洗濯で気をつけることは?
カビは湿気で増えるので、使わないときはフタを開けて乾かすのが基本です。洗濯物を洗濯槽の中にためておくのも避けてください。濡れた衣類が菌のエサと水分を同時に供給することになります。
ドラム式と縦型で選び方は変わりますか?
クリーナーの種類については変わりません。どちらも塩素系が指定されており、酸素系はどちらも非推奨です。違うのはコースの種類と所要時間なので、そこは取扱説明書で確認してください。
まとめ
- メーカーの指定は塩素系。洗濯槽用クリーナーか、衣類用の塩素系漂白剤(パナソニックは約200mL)
- 酸素系がNGな理由は「泡立ち」。日立は排水異常や泡漏れ、パナソニックは途中排水と効果不足を挙げている。縦型でも非推奨
- 台所用の塩素系も対象外。塩素系ならなんでもいいわけではない
- 重曹は溶け残りで詰まる、クエン酸は金属を腐食させる。NGの理由がそれぞれ違う
- 頻度は月1回、槽洗浄コースで。時間設定できるなら長いコースを。温水コースがあれば薬剤なしでも対応できる
- 塩素系は酸性のものと混ぜない・続けて使わない。換気も忘れずに
まずは自分の洗濯機に槽洗浄コースと温水コースがあるかを確認してみてください。持っている機能を使っていないだけ、ということは案外あります。
参考にした情報
- 日立「槽洗浄コースで、酸素系(非塩素系)の漂白剤が使用できないのはなぜですか?」
- 日立「洗濯槽のお掃除(槽洗浄コース)について知りたいです。(ドラム式)」
- 日立「洗濯機で使用できない洗剤はありますか?」
- パナソニック「【洗濯機全般】漂白剤を使った槽洗浄の使い方(黒カビ予防)」
- パナソニック「洗濯槽クリーナーを使った槽洗浄の使い方(黒カビが生えたとき)」
- シャボン玉石けん「クエン酸に『まぜるな危険』と書いていますがなぜですか?」
本記事の内容は、公開されている各社の情報をもとに構成しています。使用できる洗剤やコースは機種によって異なります。実際の作業にあたっては、必ずお使いの洗濯機の取扱説明書をご確認ください。